
採用アウトソーシング(RPO)とは?メリットや選び方のポイントを解説
2025.06.27
新卒採用アウトソーシング(RPO)とは?
新卒採用アウトソーシングとは、その名の通り、新卒採用に関わる業務の一部、またはすべてを外部の専門企業に委託できるサービスのことです。専門用語では「RPO(Recruitment Process Outsourcing)」とも呼ばれます。
単に人手が足りない部分の作業を代行してもらうだけでなく、採用のプロフェッショナルが持つ専門的な知識やノウハウを活用し、採用活動全体の質を高めて、採用成功へと導く「戦略的パートナー」と考えると良いでしょう。
よく混同されがちなサービスに「採用コンサルティング」があります。両者の最も大きな違いは、「実務(オペレーション)までを担うかどうか」です。
・採用アウトソーシング
主な役割:戦略立案のサポート+実務の実行
特徴:採用計画に基づき、スカウト送付や面接調整などの実務を代行する。
・採用コンサルティング
主な役割:戦略立案のアドバイスが主
特徴:採用課題の分析や、解決策の提案、戦略設計などを行う
どちらが良いというわけではなく、自社の課題に合わせて「戦略設計から相談したいのか」「とにかく実行部隊が欲しいのか」を見極めて選択することが重要です。
新卒採用においてアウトソーシングできること
新卒採用活動において、「具体的に、どこからどこまでの業務を頼めるの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。アウトソーシング会社によって異なりますが、一般的に委託できる業務は多岐にわたります。
企業の状況に応じて、必要な部分だけを切り出して依頼することも、採用活動全体を包括的に任せることも可能です。
ここでは、採用プロセスに沿って主な業務内容をご紹介します。
計画フェーズ
採用活動の成否を左右する、最も重要な土台作りの段階です。「そもそも、どんな人材をどうやって採用すれば良いのか分からない」といった、根本的なお悩みからサポートを依頼できます。
- 採用戦略の立案サポート: 市場の動向や競合の状況を分析し、企業の事業戦略に沿った採用戦略を共に策定します。
- 採用ターゲット(ペルソナ)の設計: 部署へのヒアリングなどを通じて、単なるスキルや学歴だけでなく、企業の文化にマッチする人物の価値観や志向性までを言語化します。これにより、選考基準のブレを防ぎ、社内での認識を統一します。
- 採用スケジュールの策定: 煩雑な採用プロセス全体を可視化し、いつまでに何をすべきか、詳細な実行計画を立てます。
- 採用予算の策定サポート: 適切な求人媒体の選定や、採用ツール導入の要否を判断し、費用対効果の高い予算計画を提案します。
母集団形成フェーズ
自社の存在を学生に知ってもらい、興味を持ってもらう段階です。「求人媒体が多すぎて選べない」「スカウトを送っても返信がない」といったお悩みを、プロのノウハウで解決します。
- 求人媒体の選定、求人票の作成・運用: 数ある媒体の中から、ターゲット学生に最も響くものをプロの視点で選定。学生が「ここで働きたい」と思えるような、魅力的な求人票を作成・運用します。
- ダイレクトリクルーティングサイトでのスカウトメール作成・送付: 候補者のプロフィールを丁寧に読み込み、一人ひとりに合わせたパーソナルな文面を作成することで、開封率や返信率を高めます。テンプレート文の一斉送信では得られない、質の高い出会いを創出します。
- 人材紹介エージェントとの連携・対応: 複数のエージェントとの窓口となり、求める人物像の的確な伝達や、推薦候補者の管理などを一括して行います。
- 会社説明会や採用イベントの企画・運営・当日の司会進行: 学生の満足度を高めるコンテンツの企画から、会場の手配、当日の運営までをトータルでサポート。採用担当者は、学生とのコミュニケーションに集中できます。
選考フェーズ
候補者の見極めと、入社意欲の向上が求められる段階です。煩雑な事務作業を委託することで、担当者は「見極め」というコア業務に専念できます。
- 応募者データ管理、書類選考の一次スクリーニング: 膨大な応募者情報を一元管理し、事前に定めた基準に基づいて書類選考を代行。担当者は、有望な候補者の選考に時間を割けます。
- 面接日程の調整・連絡: 複数の候補者と複数の面接官のスケジュールを迅速に調整する、想像以上に工数がかかる業務です。この部分を委託するだけでも、担当者の負担は大幅に軽減されます。
- 一次面接・カジュアル面談の代行: 企業の顔として、候補者のスキルや経験だけでなく、人柄やポテンシャルを見極めます。
- 適性検査の案内・管理: 各種適性検査の案内送付から、受検状況の管理、結果のとりまとめまでを代行します。
内定・入社フェーズ
内定辞退を防ぎ、スムーズな入社へと繋げる重要な段階です。手厚いフォローで、学生の不安を解消し、入社への期待感を醸成します。
- 内定通知の連絡、内定者とのコミュニケーション: 内定者一人ひとりと定期的に連絡を取り、不安や疑問を解消するための相談窓口となります。
- 内定者フォロー面談の実施: 現場社員との交流会や個別面談などを企画・実施し、入社までのエンゲージメントを高めます。
- 内定式や入社式の企画・運営サポート: 企業の文化を伝え、同期との絆を深めるためのイベントを企画からサポートします。
- 入社手続きに関する案内・管理: 必要書類の案内や回収管理など、煩雑な事務手続きを代行します。
このように、部分的な業務の委託から、採用活動全体の包括的な委託まで、企業の状況に応じて柔軟に依頼できるのが特徴です。
新卒採用をアウトソーシングする3つのメリット
リソースが限られがちな新卒採用活動において、アウトソーシングには大きなメリットがあります。
採用担当者がコア業務に集中できる
面接日程の調整や応募者対応といったノンコア業務(定型的で時間のかかる業務)を委託することで、採用担当者は候補者との対話や口説き、最終面接といった、企業の未来を左右するコア業務に時間と労力を集中させることができます。これにより、一人ひとりの候補者と向き合う時間が増え、採用のミスマッチを防ぐことにも繋がります。
プロの専門知識とノウハウを活用できる
採用アウトソーシング会社は、いわば「採用のプロ集団」です。最新の採用市場の動向、効果的な求人媒体の選び方、候補者の心に響くスカウト文面の書き方など、自社だけではなかなか蓄積できない専門的な知見を活用できます。結果として、採用活動全体の質が向上し、これまで出会えなかった優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
結果的に採用コストを削減できる可能性がある
「外部に委託すると、余計にコストがかかるのでは?」と感じるかもしれません。しかし、もし採用担当者が一人で非効率な採用活動を続けていた場合、その人件費や時間、そして採用の遅れによる機会損失は大きなものになります。 アウトソーシングを活用して採用期間を短縮したり、採用の成功率を高めたりすることで、結果として採用一人あたりのトータルコストを削減できるケースは少なくありません。
新卒採用アウトソーシングのデメリットと対策
メリットの大きいアウトソーシングですが、導入を成功させるためには、事前にデメリットと対策を理解しておくことが不可欠です。
社内に採用ノウハウが蓄積されにくい
すべてを「丸投げ」にしてしまうと、採用プロセスがブラックボックス化し、社内にノウハウが蓄積されません。これを防ぐためには、アウトソーシング会社と定期的にミーティングを行い、活動状況や選考データの共有を依頼しましょう。パートナーとして密に連携し、成功事例や失敗事例から学ぶ姿勢が重要です。
認識の齟齬が生まれる可能性がある
求める人物像や企業の文化・価値観といった抽象的な部分の共有が不十分だと、「思っていたような人材が集まらない」というミスマッチが起こり得ます。契約前に、自社の言葉で「どんな人材を、なぜ採用したいのか」を詳細に伝え、認識をすり合わせるプロセスを丁寧に行いましょう。
情報漏洩のリスクがある
応募者の履歴書など、個人情報を取り扱うため、情報セキュリティのリスクは常に存在します。委託先を選ぶ際には、必ず秘密保持契約(NDA)を締結しましょう。また、プライバシーマーク(Pマーク)やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得しているかどうかも、信頼できる会社を見極めるための一つの指標になります。
新卒採用アウトソーシングの費用相場と料金体系
費用は、委託する業務範囲や採用人数によって大きく変動します。主な料金体系は以下の2種類です。
月額固定型
毎月一定の料金で、契約範囲内の業務を継続的に委託するプランです。
- 特徴: 採用計画の立案から母集団形成、選考サポートまで、ある程度の期間にわたって包括的に支援してもらう場合に多い形式です。
- メリット: 毎月の費用が固定されているため、予算管理がしやすい点が挙げられます。
- 費用相場: おおよそ月額10万円~70万円程度と、委託範囲により費用が大幅に変わることが一般的です。
成果報酬型
候補者が内定を承諾し、入社が確定した時点で費用が発生するプランです。
- 特徴: 主に面接代行やスカウト送付代行など、特定の業務に特化して利用されることがあります。
- メリット: 採用が決まるまで費用が発生しないため、初期投資を抑えることができます。
- 費用相場: 採用が決定した人材の想定年収の20%~35%程度が一般的です。
自社に合った料金体系を選択することも、新卒採用において非常に重要です。
アウトソーシング会社の選び方5つのポイント
数ある会社の中から自社に最適なパートナーを選ぶことは、採用成功の鍵を握ります。ここでは、契約後に「こんなはずではなかった」と後悔しないための、5つの実践的なチェックポイントをご紹介します。
実績と得意領域:「自社と似たケース」での実績はあるか
- なぜ重要か?
新卒採用のトレンドや有効なアプローチは、業界(IT、メーカー、飲食など)や企業規模(ベンチャー、中小企業など)によって大きく異なります。自社の状況に近い企業の支援実績がある会社は、成功パターンのノウハウを持っており、より的確なサポートが期待できます。 - どう確認するか?
Webサイトの導入事例を確認するだけでなく、商談の際に「弊社の業界・規模に近い企業の支援実績について、具体的な成功事例や、逆に苦戦した事例があれば教えていただけますか?」と直接質問してみましょう。誠実に答えてくれる会社は信頼できます。
業務の対応範囲:「できないこと」は何かを明確にする
- なぜ重要か?
「すべてお任せください」という言葉を鵜呑みにせず、具体的にどこまでが対応範囲で、どこからは自社で対応すべきかを明確にすることが、後のトラブルを防ぎます。特に、最終面接や内定の判断など、企業の根幹に関わる部分は自社で行うのが基本です。 - どう確認するか?
自社が委託したい業務リストを作成し、一つひとつ対応可能かを確認しましょう。その上で、「逆に、貴社が対応できない業務範囲は何ですか?」と質問することで、役割分担がより明確になります。
担当者との相性:「パートナー」として信頼できるか
- なぜ重要か?
採用活動は数ヶ月にわたる長期のプロジェクトであり、予期せぬ事態も起こり得ます。そんな時に、気軽に相談でき、迅速かつ的確な対応をしてくれる担当者の存在は、プロジェクトの成否を分けると言っても過言ではありません。機械的なやり取りではなく、二人三脚でゴールを目指せるパートナーを見つけることが大切です。 - どう確認するか?
契約前の商談が、担当者の力量や人柄を見極める絶好の機会です。こちらの質問に対し、専門用語を並べるだけでなく、分かりやすい言葉で丁寧に答えてくれるか、こちらの事業や採用課題を深く理解しようと努めてくれるか、といった点に注目しましょう。可能であれば、契約後に実際に担当してくれる方と事前に面談させてもらうのも有効です。
料金体系の明確さ:「後からの追加費用」はないか
- なぜ重要か?
「基本料金は安いと思ったのに、後から次々とオプション費用を請求され、結果的に予算を大幅にオーバーしてしまった」というのは、よくある失敗例です。明確で透明性の高い料金体系の会社を選びましょう。 - どう確認するか?
見積書を受け取ったら、「この料金には、どの業務までが含まれていますか?」「例えば、月間のスカウト送付数に上限はありますか?」「採用イベントを急遽追加した場合の費用はどのようになりますか?」など、具体的なケースを想定して質問し、書面で回答をもらうようにすると安心です。
セキュリティ体制:「大切な情報」を預けるに足るか
- なぜ重要か?
応募者の履歴書や個人情報、さらには自社の採用戦略といった機密情報を預けることになるため、セキュリティ体制の確認は必須です。万が一の情報漏洩は、企業の信用を大きく損なう事態に繋がりかねません。 - どう確認するか?
秘密保持契約(NDA)の締結はもちろんのこと、プライバシーマーク(Pマーク)やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得しているかは、客観的な判断基準になります。また、「具体的にどのような情報管理体制を敷いていますか?」と質問し、その回答が明確であるかを確認しましょう。
新卒採用に課題がある企業様は、ぜひ「jinji+」にアウトソーシングしてください!
本記事では、新卒採用のアウトソーシングについて、その概要からメリット・デメリット、費用、選び方までを解説しました。
「新卒採用のアウトソーシングについて理解はしたが、何から始めればいいか分からない」
「自社の場合はどんな業務を委託できるのか、具体的に相談してみたい」
このようにお考えの人事ご担当者様も多いのではないでしょうか。
そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「jinji+(ジンジプラス)」にご相談ください。
「jinji+」は、単なる採用支援にとどまりません。採用戦略の立案から、ターゲットに合わせた最適な手法のご提案、実行、効果測定、そして改善まで、採用活動全体を一気通貫でサポートいたします。
お客様一社一社の状況や課題を丁寧にヒアリングし、豊富な実績とノウハウに基づいた最適なプランをご提案。採用成功というゴールまで、二人三脚で伴走し、寄り添った改善をいたします。
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