「新卒採用を始めたものの、思うように応募が集まらない」 「手間とコストをかけたのに、優秀な学生に限って内定を辞退されてしまう」

 

多くの経営者様や人事担当者様が、このような悩みを抱えています。変化の激しい現代において、かつてと同じやり方での採用活動は通用しなくなりつつあります。

その大きな原因は、「戦略なき採用活動」にあります。

 

労働人口の減少、Z世代と呼ばれる若者の価値観の変化など、企業を取り巻く環境は大きく変わりました。このような状況で未来を担う人材を獲得するためには、行き当たりばったりではなく、緻密に練られた「新卒採用戦略」が不可欠です。

 

本記事では、新卒採用を成功に導くための戦略立案の具体的な手順とポイントを、分かりやすく解説していきます。

 

なぜ新卒採用に戦略が必要なのか?

 

まず、なぜこれほどまでに「戦略」が重要視されるようになったのでしょうか。その背景には、無視できない3つの環境変化があります。

 

採用競争の激化と売り手市場の加速

 

少子化の影響で日本の生産年齢人口は年々減少しており、企業間の人材獲得競争は激化の一途をたどっています。近年の新卒採用における有効求人倍率は高い水準で推移しており、学生が企業を選ぶ「売り手市場」が続いています。

このような状況では、ただ求人情報を公開しているだけでは、学生の目に留まることすら難しくなってしまいます。

 

Z世代の価値観の変化と就職活動の多様化

 

現代の就職活動の主役である「Z世代」は、デジタルネイティブであり、その価値観も上の世代とは大きく異なります。彼らは企業の安定性や給与といった条件だけでなく、「その仕事を通じて自己成長できるか」「社会に貢献できるか」「自分らしい働き方ができるか」といった点を非常に重視します。

また、情報収集の方法も多様化しており、従来の就職ナビサイトだけでなく、SNSや口コミサイト、逆求人型のサービスなどを駆使して、能動的に企業を探しています。彼らの心に響くアプローチを行うには、彼らの価値観や行動様式を深く理解した上での戦略が欠かせません。

 

「行き当たりばったり」の新卒採用がもたらすリスク

 

明確な戦略がないまま採用活動を進めてしまうと、以下のようなリスクが生じます。

 

  • 採用目標の未達
    求める人物像が曖昧なため、効果的なアプローチができず、結果的に採用人数を確保できない。
  • ミスマッチによる早期離職
    会社の魅力を正しく伝えられないことで、入社後に「思っていたのと違った」というギャップが生まれ、早期離職につながる。
  • 採用コストの高騰
    効果の薄い施策に時間と費用を浪費し続け、採用単価がどんどん上がってしまう。

 

こうしたリスクを避け、採用活動を成功に導くために、しっかりとした「戦略の軸」を立てることが何よりも重要なのです。

 

 

新卒採用戦略を立てる5つのステップ

 

それでは、具体的にどのように戦略を立てていけば良いのでしょうか。ここでは、5つのステップに分けて解説します。

 

目的と目標(KGI/KPI)を明確にする

 

最初に、「なぜ、何のために新卒を採用するのか?」という採用の目的を言語化しましょう。「将来の幹部候補を育成したい」「組織を活性化させたい」「新しい事業の担い手が欲しい」など、会社の未来と結びつけて考えることが重要です。

目的が明確になったら、具体的な数値目標を設定します。

 

  • KGI(重要目標達成指標)
    最終的なゴール。例)「20XX年度に〇〇職を3名採用する」
  • KPI(重要業績評価指標)
    KGI達成のための中間指標。例)「応募者数100名」「会社説明会参加率50%」「内定承諾率60%」

 

数値を設定することで、施策の進捗状況を客観的に把握し、改善のアクションを取りやすくなります。

 

自社の現状分析と魅力の言語化

 

次に、自社の置かれている状況を客観的に分析し、「学生に何をアピールできるか」という魅力を洗い出します。ここでは「SWOT分析」というフレームワークが役立ちます。

 

  • 強み (Strengths)
    技術力、社員の人柄、挑戦できる風土、経営陣との距離の近さ など
  • 弱み (Weaknesses)
    知名度の低さ、福利厚生、採用ノウハウ不足 など
  • 機会 (Opportunities)
    成長市場、新しい採用ツールの登場 など
  • 脅威 (Threats)
    競合の存在、採用市場の激化 など

 

特に中小企業の場合、給与や知名度といった面で大手企業に劣るかもしれません。しかし、「若いうちから裁量権を持って働ける」「社長の近くで経営を学べる」といった、規模が小さいからこその魅力が必ずあるはずです。学生の視点に立ち、自社ならではの魅力を言語化しましょう。

 

採用ターゲット(ペルソナ)を具体的に設定する

 

「明るく元気で素直な学生」といった曖昧な人物像では、誰の心にも響きません。明確にした目的や自社の魅力に基づき、「自社に本当にマッチするのはどんな人物か」を具体的に描く「ペルソナ」を設定します。

 

  • 基本情報
    学部、専攻、所属サークルや部活動など
  • スキル・経験
    アルバイト経験、資格、プログラミングスキルなど
  • 性格・価値観
    挑戦意欲が高い、チームで働くのが好き、安定志向など
  • 就活の軸
    企業選びで何を重視しているか
  • 情報収集の手段
    よく見るSNS、利用する就活サイトなど

 

ペルソナを詳細に設定することで、この後のメッセージ策定や採用手法の選定が格段にやりやすくなります。
【関連】新卒採用のペルソナとは?メリットや作り方を解説

 

一貫性のある採用メッセージを策定する

 

「誰に(ペルソナ)」「何を(自社の魅力)」伝えるかが決まったら、それらを凝縮した採用メッセージ(コンセプト)を作りましょう。これは、採用活動全体を貫くキャッチコピーのようなものです。

例えば、「挑戦意欲の高い学生(ペルソナ)」に「若いうちから裁量権を持って働ける(魅力)」を伝えたいなら、「失敗を恐れるな。20代で事業責任者を目指せる会社」といったコンセプトが考えられます。

このコンセプトを軸に、採用サイト、説明会、面接など、学生との全ての接点で一貫したメッセージを発信することが、企業の魅力や想いを深く届けるための鍵となります。

 

採用手法の選定とスケジュールの策定

 

最後に、策定したペルソナやコンセプトに基づき、具体的な採用手法スケジュールに落とし込みます。

 

  • 採用手法の例
    • 就職ナビサイト
      広く母集団を形成したい場合に有効
    • ダイレクトリクルーティング
      企業側からペルソナに合致する学生に直接アプローチ
    • 人材紹介(エージェント)
      専門職の採用や、採用工数を削減したい場合に有効
    • SNS採用
      企業のリアルな雰囲気を伝え、学生との相互理解を深めるのに適している

 

ペルソナが最も利用するであろう媒体は何かを考え、複数の手法を組み合わせることが成功のポイントです。そして、会社説明会から選考、内定出しまでのおおよそのスケジュールを策定し、計画的に採用活動を進めましょう。

 

【関連】新卒採用の手法14選!自社に合う選び方と成功のコツ

 

 

新卒採用の戦略を実現するための秘訣

 

最後に、限られたリソースの中で大手企業と戦う中小企業が、新卒採用を成功させるための秘訣をご紹介します。

 

ターゲットを「広く」ではなく「深く」絞り込む

 

大手企業のように、何万人もの学生にアプローチする必要はありません。むしろ、ステップ3で設定したペルソナに合致する学生に的を絞り、その層に深く響くようなアプローチを心がけましょう。「100人に浅く知られる」よりも、「10人の心に深く刺さる」ことを目指すのが、中小企業の採用戦略です。

 

「等身大の魅力」と「未来の可能性」を伝える

 

過度に飾った情報よりも、学生は企業のリアルな姿を知りたがっています。社員インタビュー記事を充実させたり、若手社員が参加するカジュアルな座談会を開催したりして、**「等身大の魅力」を伝えましょう。 同時に、「この会社に入れば、こんな風に成長できる」「会社の成長と共に、自分も大きな仕事に挑戦できる」といった「未来への可能性」**を提示することが、学生の入社意欲を掻き立てます。

 

手厚い「内定者フォロー」で惹きつける

 

内定を出した後も、学生は複数の企業で悩み続けています。この時期の学生の不安な気持ちに寄り添う「内定者フォロー」が、内定辞退を防ぐ上で極めて重要です。

 

  • 内定者懇親会の開催
  • 先輩社員との定期的な面談
  • 社内イベントへの招待
  • 入社前研修の実施

 

こうした丁寧なフォローを通じて、「この会社は自分を大切にしてくれる」と感じてもらうことが、最後の決め手となります。

 

リソース不足の場合は採用代行(RPO)も視野に入れる

 

「採用戦略の重要性は理解できたが、実行するための人手やノウハウが足りない…」

中小企業の人事担当者様であれば、こうした壁に直面することも少なくありません。そんな時は、jinji+のような採用代行(RPO)の活用も有効な選択肢です。

 

採用代行(RPO)とは、採用のプロフェッショナルが、戦略立案から母集団形成、面接調整、内定者フォローまで、採用業務の一部または全部を代行するサービスです。

 

・人事担当者はコア業務に集中できる

・プロのノウハウを活用し、採用の質とスピードを向上できる

・結果的にトータルの採用コストを抑えられる可能性がある

 

自社だけで全てを抱え込まず、外部の力を賢く利用することも、現代の採用競争を勝ち抜くための重要な戦略の一つです。

 

新卒の採用戦略の策定や実行は「jinji+」にお任せください

 

本記事では、新卒採用を成功させるための戦略の立て方を解説しました。

新卒採用戦略は、一度立てて終わりではありません。採用市場の変化や自社の状況に合わせて、常に見直しと改善を繰り返す「PDCAサイクル」を回していくことが不可欠です。

 

しかし、

「新卒採用の戦略立案、何から始めれば…」

「採用業務に追われ、戦略を練る時間がない」

 

このようにお考えの人事ご担当者様も多いのではないでしょうか。

 

そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の「jinji+(ジンジプラス)」にご相談ください。

 

「jinji+」採用から会社を強くする

 

「jinji+」は、単なる採用支援にとどまりません。戦略の立案から、ターゲットに合わせた最適な手法のご提案、実行、効果測定、そしてスカウト活用まで、採用活動全体を一気通貫でサポートいたします。

お客様一社一社の状況や課題を丁寧にヒアリングし、貴社の状況に合わせた採用プランをご提案します。

 

新卒採用サービスに関するご相談にとどまらず、採用活動全体でお困りのことがございましたら、まずはお気軽に下記よりお問い合わせください。

 

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