
新卒採用における採用計画とは?立て方や成功のポイントを紹介
2025.06.23
新卒採用における「採用計画」とは?
新卒採用の成功は、企業の持続的な成長に不可欠な要素です。
そして、その成否を大きく左右するのが、採用活動の羅針盤とも言える「採用計画」となっています。
採用計画は、単なるスケジュール表ではありません。いかにして自社が求める人材を、適切な時期に、適切な方法で採用するか、そして入社後の活躍までを見据えた採用活動全体の「設計図」を作っていくようなものです。
近年の新卒採用市場は、学生優位の売り手市場が続き、採用活動の早期化・長期化、そして採用手法の多様化がますます進んでいます。このような変化の激しい時代だからこそ、場当たり的な採用活動では、優秀な人材を獲得することは困難です。
本記事では、なぜ今、採用計画が重要なのかを改めて解説するとともに、成功に導くための具体的な計画の立て方、よくある失敗例、そして採用市場の変化に対応するためのポイントまで、網羅的に紹介します。
新卒採用における効果的な採用計画の立て方
精度の高い採用計画は、新卒採用における活動の質を格段に向上させます。以下の5つのステップに沿って、自社の状況に合わせた採用計画を策定していきましょう。
1. 採用目的とターゲットの明確化
まずはじめに「なぜ新卒採用するのか?」を明確にすることです。
「欠員補充」「事業拡大に伴う増員」といった短期的な理由だけでなく、「3年後の中核を担うリーダー候補の獲得」「新しい事業領域に挑戦するための多様な人材確保」など、経営計画や事業計画に紐づいた長期的な目的を設定することが重要です。
目的が明確になれば、採用すべき学生の人物像(ターゲット)も具体化します。
単に「コミュニケーション能力が高い学生」といった曖昧なものではなく、
保有スキル・知識:どんな学問を学び、どのような経験をしてきたか
価値観・志向性:どのような働き方を望み、何を大切にしているか
ポテンシャル:将来的にどのような役割を担ってほしいか
などを具体的に定義し「ペルソナ」として詳細に書き出すことで、新卒採用の目的に対する社内の認識が揃い、一貫性のあるメッセージを打ち出すことができます。
2. 採用人数と予算の策定
次に、明確化した目的とターゲットに基づき、「何人新卒採用するのか」という採用人数を決定します。各部署へのヒアリングはもちろん、過去の退職率や今後の事業展開を考慮して、必要な人員数を算出しましょう。
採用人数が決まったら、予算を策定します。新卒採用予算は、大きく「内部コスト」と「外部コスト」に分かれます。
内部コスト:人事担当者の人件費、面接官の工数、リファラル採用のインセンティブなど
外部コスト:求人広告媒体費、人材紹介サービス利用料、合同説明会への出展料、採用管理システム(ATS)の利用料、パンフレットなどの制作費など
これらの費用を一つひとつ洗い出し、採用単価(一人採用するためにかかるコスト)を意識しながら、現実的な予算を組むことが大切です。
3. 採用手法と選考プロセスの決定
次に、ターゲットとなる学生に自社を認知してもらい、応募につなげるための「採用手法」を具体的に決定します。
ターゲット学生がどのチャネルで情報を得ているかを分析し、複数の手法を組み合わせる「ハイブリッド型」のアプローチが効果的です。
求人広告媒体:幅広い層にアプローチしたい場合に有効
就活エージェント(人材紹介):求める人物像に合致した学生をピンポイントで紹介してもらえる
ダイレクトリクルーティング:企業側から学生に直接アプローチできる
合同説明会・イベント:多くの学生と直接触れ合える
大学のキャリアセンター:大学との連携を強化し、推薦などを得られる
リファラル採用:社員からの紹介で、マッチングの精度が高い
SNS(ソーシャルリクルーティング):企業のリアルな姿を発信できる
同時に、応募者を見極めるための「選考プロセス」も設計します。書類選考、適性検査、グループディスカッション、複数回の面接など、各選考ステップの目的を明確にし、評価基準を具体的に定めておきましょう。
4. 活動全体のスケジュール設計
採用目的、人数、手法、プロセスが決まったら、それらを年間のスケジュールに落とし込みます。いつまでに何をすべきかを具体的に設定し、採用活動全体の流れを可視化しましょう。
<スケジュールの設計例>
採用計画策定:〇月~〇月
インターンシップ情報公開・募集:〇月~〇月
広報活動開始(求人媒体掲載、説明会予約開始):〇月~
会社説明会実施:〇月~〇月
エントリーシート受付・書類選考:〇月~〇月
面接(複数回):〇月~〇月
内々定出し:〇月~
内定式:〇月
内定者フォロー:内定出し後~入社まで
各タスクの担当者と期限を明確にすることが、計画をスムーズに実行する上で不可欠です。
5. 採用体制の構築
採用活動は、人事部だけで完結するものではありません。経営層、現場の管理職、若手社員など、全社を巻き込んだ協力体制を構築することが成功のカギとなります。
誰が面接を担当するのかを事前に決めたうえで評価基準の共有を行ったり、経営層や現場に対して、採用の進捗状況を定期的に報告し、協力を仰ぐ体制を整えることが大切です。
これらの役割分担を事前に細かく決め、全社一丸となって採用活動に取り組む風土を醸成しましょう。
新卒採用計画におけるよくある失敗例
意欲的に新卒採用の計画を立てても、なぜか上手くいかないケースもあります。よくある失敗例から、自社の新卒採用計画に潜むリスクをチェックしてみましょう。
目的があいまいなまま進めてしまう
「例年通りだから」という理由で、目的を深く考えずに計画を進めてしまうと、採用メッセージに一貫性がなくなり、学生に魅力が伝わりません。結果として、母集団は集まっても、自社にマッチした人材からの応募が増えないという事態に陥りがちです。
このような事態を防ぐため、経営層から若手社員までを上手く巻き込み、言語化した採用目的を展開していくことが重要です。
現場の求める人物像とずれている
人事部だけでペルソナを設定してしまうと、実際に配属される現場が求める人物像と乖離が生まれることがあります。入社後のミスマッチは、早期離職の大きな原因となります。採用計画段階で現場社員へのヒアリングを徹底し、リアルなニーズを汲み取ることが不可欠です。
予算や工数の見積が甘い
「思ったより広告費がかさんだ」「面接官の時間が確保できない」といった予算・工数の見積もりの甘さは、計画の遅延や中断に直結します。特に、新たな採用手法を導入する際は、想定外のコストや工数がかかる可能性を考慮し、余裕を持った計画を立てましょう。
新卒採用の年間スケジュールと市場の変化への適応
新卒採用の年間スケジュールは、市場の動向によって毎年変化が見られます。近年の新卒採用スケジュールを踏まえ、早めに動き出すことが重要です。
近年の新卒採用におけるスケジュール
経団連(日本経済団体連合会)の指針では「広報活動開始は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動開始は卒業・修了年度の6月1日以降」とされていますが、実態は大きく異なります。
特に近年は、インターンシップの定義が変更され、採用に直結するタイプのインターンシップが解禁されています。
そのため、実質的な選考活動は大学3年生の夏から始まっていることが多く、大手企業の場合は大学1、2年生から採用活動を行っていることも少なくありません。
多くの企業が早期に学生との接点を持ち、内々定を出していくため、従来のスケジュール感では優秀な人材の獲得競争に乗り遅れてしまう可能性があります。
いつから採用計画を立てる?
このような新卒採用における活動の早期化・長期化を踏まえると、採用計画は、本格的な広報活動を開始する半年前、できれば1年前から着手するのが理想です。例えば、2027年卒(2027年4月入社)の新卒採用であれば、2025年の春~夏頃から採用計画を立て始める必要があります。十分な準備期間を確保することが、計画の精度を高め、成功確率を引き上げます。
新卒採用市場の変化に適応することが大切
新卒採用市場は、社会情勢や学生の価値観の変化を受け、常に変動しています。過去の成功体験だけに固執せず、常に最新のトレンドをキャッチアップし、活動を進めていく中で採用手法やスケジュールを柔軟に見直していく姿勢が求められます。
新卒採用計画の成功確率をさらに高めるポイント
基本的な採用計画に加えて、以下の3つのポイントを意識することで、採用計画の成功確率をさらに高めることができます。
経営計画・事業計画と連動させる
採用計画は、最終的な経営計画や事業計画を達成するための「手段」です。会社の未来像と採用活動をリンクさせることで、採用の目的がより明確になり、経営層や現場の協力を得やすくなります。
過去の採用活動を振り返る
前年度の新卒採用結果をデータで振り返り、課題を分析することが重要です。「どの採用手法からの応募が最も効果的だったか」「どの選考段階で辞退が多かったか」「入社した社員は期待通りに活躍しているか」などを定量・定性の両面から評価し、次の計画に活かしましょう。
計画は柔軟に見直す
過去の採用活動を振り返ることも大切ですが、一度立てた計画に固執しすぎるのは危険です。採用活動を進める中で、学生の反応や競合の動き、社会情勢は日々変化します。定期的に進捗を確認し、必要であれば採用目標や手法、スケジュールを柔軟に修正する「PDCAサイクル」を回していくことが、最終的な成功に繋がります。
採用して終わりではない!計画に盛り込みたい「内定者のフォロー」
厳しい採用競争を勝ち抜き、ようやく内定を出しても、安心はできません。学生は複数の企業から内定を得ているケースがほとんどであり、「内定辞退」は企業にとって大きな損失となります。
なぜ内定者フォローが重要なのか
内定から入社までの期間は、数ヶ月から1年近くに及ぶこともあります。この間、学生は「この会社で本当に良いのだろうか」という不安(内定ブルー)に駆られることも少なくありません。
内定者フォローは、こうした学生の不安を解消し、企業への理解を深め、入社意欲を高めるために不可欠な活動です。これは、入社後のスムーズな立ち上がりと定着・活躍を促すための先行投資とも言えます。
内定者フォローの具体的な内容
採用計画の段階で、内定者フォローの施策と予算も組み込んでおくとスムーズに進めやすいです。
懇親会・食事会(オンライン/オフライン):社員や内定者同士の交流を深める。
先輩社員との面談:ロールモデルとなる社員と話す機会を設け、働くイメージを具体化させる。
社内イベントへの招待:会社の雰囲気を肌で感じてもらう。
内定者研修・eラーニング:社会人としての基礎知識やスキルを学ぶ機会を提供する。
定期的な情報発信:内定者専用サイトやSNSで、社内のニュースや同期の紹介などを発信する。
このような具体的な施策を採用計画に組み込み、内定辞退を防いでいきましょう。
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新卒採用における「採用計画」は、単なるタスクリストやスケジュール表ではなく、企業の未来を創るための重要な戦略設計図です。
本記事でご紹介したステップやポイントを参考に、ぜひ貴社ならではの採用計画を策定し、採用活動を成功に導いてください。
しかし、「採用計画の重要性は分かったけれど、具体的に何から手をつければいいか分からない」「計画を立てても、改善が上手くいかず、実行段階でつまずいてしまう」
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